無趣味で人付き合いが苦手な女医の家計簿

地方在住。ひきこもり女医のブログ。弱音も収入も晒してます。

①金スマ、近藤医師が危険すぎるワケ&がんについて正しく理解して。

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こんばんは、くるみもち(@kurumimochi712)です。

9月はたくさん記事を書いたので、一昨日から、もうサボる気でいたのですが、書かずにはいられないことがあったので更新します。

今日の記事は、いつもの家計ネタやおバカ記事とは違います。ご了承を。

私は医療に関わる身ではありますが、このブログでは医療について述べたことはほとんどありません。

それは、私が無能な医者であり語れるだけのものが無いこと、また、小心者であるがゆえ、息抜きの場であるこのブログで批判を受けかねない記事を書くことを避けてきたからです。

今日、どうしても書きたかったのは、近藤誠という医師についてです。

一昨日の「金スマ」に出演していたので、見られた方も多いのではないでしょうか?

この流れからお分かりでしょうが、以下、近藤氏を批判する文面となります。近藤氏の信望者の方は、不快な思いをするだけなので、読まずにお帰りください。

申し訳ありませんが、間違いなく不毛なやり取りに終わるでしょうから、信望者さんからのご意見は受け付けません。

このブログは一日に3,000人以上の方が見てくださっています。

おそらく、医療関係者以外の方が大半でしょう。だからこそ伝える意義があると思います。

いつも遊びに来てくださっている読者様においては、正しい知識を持って病気や治療と向き合っていただきたく願います。

「医師もどき」の偏った意見で、ご自身の、ご家族の、ご友人の、救える命をみすみす捨てることにならないように。

長いですが、お時間があれば最後までお読みください。

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問題の「金スマ」の番組内容。

10月3日放送の金スマのタイトルがこちら。

「医者に殺されない47の心得が大ベストセラー異端の医師・近藤誠は預言者か?扇動者か?ガンは放置、手術しない!に医療界が猛反発」

視聴者を煽るようなタイトルには閉口します。

このタイトルを見ただけで、「革新的な近藤氏 VS その足を引っ張るその他大勢」のような印象を受けます。

近藤氏はがんについて持論を展開していましたが、それは真っ当な医学を学び、治療のガイドラインに沿って標準的な治療を行っている医師からすると、到底受け入れられないものです。
(すみません。この方を「医師」とは書きたくないので、近藤氏と表記します)

現在治療を受けている患者さんが、何か有益な情報が得られることを期待して、この番組を見たかもしれません。

視聴後、標準的な治療をしてきた主治医に対して不信感を抱いた患者さん、家族さんがきっとおられることでしょう。

本氏の主張により、多くの人が間違った考えを持ってしまったと思われます。

TVの影響は大きいです。

本氏はもちろんのこと、この番組を放送したTBSの責任も重大です。

今後、標準的な治療を受けないことを選択する患者さんが増え、健康被害が大きくなることが危惧されます。

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近藤誠の「がんもどき」理論とは。

近藤氏の言動はツッコミどころが多数あるのですが、一番目を引くネタは「がんもどき」理論です。

食べ物のガンモドキではありません。。

日本では、昔は結核で亡くなる人がトップでしたが、公衆衛生の改善ともに、脳血管疾患(脳梗塞や脳出血)がトップとなり、さらに高齢化が進むにつれて高齢者で多い疾患である、がん(悪性新生物)が増えて1980年にはトップとなり、現在もぶっちぎりの一位となっています。

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※男女合計、年齢調整なし。

参考:日本人の主な死因の死亡率の推移

がんは、種類やステージによっては根治も見込める病気。

「がん」は今でも恐ろしい病気であることに変わりはありませんが、「不治の病」というイメージから、「治る可能性のある病気」とのイメージに変わってきていますよね。

がんの種類や、ステージにもよりますが、段階に応じて適切な治療をすれば、根治も十分見込める病気です。

もしくは、根治はしなくても、治療によって、単なる延命ではなく、仕事をしたり好きなことをしたりしながら過ごす期間が長くなることが期待できます。

がんが発覚したときは放置しましょう??

こちらは週刊文春の近藤氏のインタビューから抜粋。

検診などで早期にがんが見つかった時、そのがんが『転移するがん幹細胞によるもの』ならば、いくら早期でもそれ以前の段階で転移は起きていますから、手術で根治する事は不可能です。逆に、『転移する能力がないがん幹細胞によるもの』ならば、放っておいても『おでき』のようなもの、即ち私が『がんもどき』と呼んでいるものなので、慌てて手術や抗がん剤治療を受ける事はない。つまり、患者さんは自らのがんが『がんか、がんもどきか』を気にせずに、ゆっくり様子をみていくというのが結論です。そして自覚症状が出てきて『QOL』(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)が落ちてきたときに、初めて対処を施していけばいい。すぐに手術したり抗がん剤投与を始めたりするのは、かえってQOLを下げてしまう事に繋がります。

参考:近藤誠「“がんもどき理論”は絶対正しい。長尾先生、対談で決着を!」

えっと・・・。

直訳すると、

「がんが発覚しても放置でオッケー(人´∀`o)」

と言っています。

たしかに、甲状腺がんや前立腺がんなど、成長スピードが遅く、発覚時に小さいものであれば、しばらく経過観察しても予後に影響のないがんもあります。

近藤氏の怖いところは、一律に「無症状なら放置でOK」としているところです。

前述したように早期であれば、手術で取り切れ、完治する例は多数あります。

手術で生活の質が落ちると言っていますが、今は内視鏡での侵襲の少ない外科的治療も多くのケースで適応となってきています。

医療関係者でなくとも知っているような話ですよね。

参考:がん情報サービス

早期で見つかり、根治した人の話を聞いたことありません?

みなさんの周りでも聞いたことがありませんか?最近保険のCMに出ている宮迫さんも早期の胃がんで治療を受けてらっしゃいましたね。

今、お元気に仕事をされていますが、「真のがんなら既に転移しているから、手術でも治せない」「転移しないがんもどきなら、治療の必要なし」と、近藤理論で放置していたら、宮迫さんは現在のように活躍されていたでしょうか。疑問です。

私の母も子宮頚がんでしたが、10年ほど前に初期で見つかり円錐切除術を受けて、今はもう通院もしなくてよくなりました。

近藤理論でいくと、「それはがんもどき。放っておいても命に別条は無かったのだ。」と言われるのでしょうか。

自覚症状が出てきたころには。。

そして、「自覚症状が出てきたときに初めて対処をしていけばよい」には疑問符がいっぱいです。

自覚症状が出てQOLが下がってきたころには手遅れ、ということはままありますが、それについては??

すい臓がんや肝臓がんなど、初期は自覚症状が出ないがんはよく知られています。

さて、そろそろ治療でも検討しようかね。どっこらしょ。

やっと重い腰を上げたところで、そのときには積極的な治療の適応は無し。

痛みを取る治療で死を待つほか無し。

・・・ってな状態になることも考えられます。

「真のがん」か「がんもどき」かは、見分けられない。

さらにドヒャーなのが、近藤氏は、

「真のがん」と「がんもどき」を見分けるのは不可能

と、言ってのけています。

発覚してから放置して、経過を見て、

死んだら「真のがん」、長く症状も無く生きてたら「がんもどき」

だそうです。

放置の末、「あ~、広がったね。症状も出てきたね。これは真のがんだったね」と。

って、これ、何の意味があるんでしょうか。。

近藤氏への「至極マトモ」な反論。

信頼できる専門医である、腫瘍内科医・勝俣範之先生が近藤氏の意見に反論されており、分かりやすいので引用します。

リンク:「がんは放置してもいい」は本当か 主張と反論

近藤氏の主張。

・がんは発見時に転移が潜む「本物」と、転移しない「がんもどき」に二分類される
・「本物」は手術でも抗がん剤でも治らない。「もどき」は治療が不要。よって、無症状なら治療はしなくてよい
・検診を受ければ死亡数が減るという根拠はない
・抗がん剤の臨床試験の生存曲線は形が不自然で、人為的操作があったと推測できる
・生活の質を上げるための治療は必要

勝俣先生の反論。

・がんは「がんもどき」と「本物のがん」に二分類はできない
・過剰治療の側面はあるが、治療しなくていいがんかどうかは見極められない
・検診による過剰診断を示すデータはあるが、検診の全否定にはつながらない
・「臨床試験の生存曲線は人為的に操作された」という主張に科学的根拠はない
・放置療法により助かる命も助からないこともあり、この主張は危険

ほとんどの事象はケースバイケース。

勝俣先生の意見に、歯切れの悪い、曖昧な印象を受けませんか?

医学に限らずですが、世のほとんどの事象は断言することは難しいものです。

がんというものは、種類が多様で、同じ「肺がん」でもさらに細かく分類されますし、悪性度も違います。

近藤氏「がんは2種類に分類」⇒まじすか(汗) 初耳です。

検診については、早期発見できても死亡率が減らないので検診は有効で無いとされているがんも確かにありますが、死亡率が減るという研究結果が出ているがんもあります。

近藤氏「検診は無意味」⇒まじすか(汗) 私は子宮頸がんの検診受けてますよ。

参考:がん検診ガイドライン 推奨のまとめ

卑近な例ですが、「クレジットカードは○○カードが一番オトク」と書いてあったとします。

ん?おかしいぞと、思いますよね。

みんなそれぞれ、お金の使い方も家族構成もライフスタイルも違うのに、「全員にオトク」とは言えませんよね。

「この場合は、○○カードが一番オトク、この場合には△△カードが一番オトク。」

このような説明が自然です。

極論はアブナイ。

がんは「真のがん」と「がんもどき」の2つ。全てのがんは治療の必要なし。がん検診で死亡は減らない。

このような「極論」は、ショッキングで、印象に残りやすいです。

患者さんには、とくにインパクトがあったでしょう。

それを慶応大で勤務していた医師が言うんですから、信じてしまうリスクは高いです。

普通、立派な経歴の「先生」が嘘っぱちを言うとは思いませんからね。

とくにこのような命に関わる事柄については疑ってかかるべきです。

おまけ。生活の質をあげる治療は必要って、変な逃げどころを作っているのもなんだかなという感じです。
(それなら自覚症状が出る前に最小限の治療をしたら?と思ってしまいますが)

ちなみに、生存曲線のカタチが不自然という主張は、他の方が論理的に反論されていますので、次回紹介します。

近藤氏の極論に出てこない多数のがんについて。

がんもどき理論の解説、問題点については、医師のPseuDoctorさんの記事が、分かりやすかったです。

がんには、様々な種類があります。中には、近藤氏が「がんもどき」と呼ぶものに近い「進行が極めて遅く、滅多に転移も起こさない」がんも確かにあります。また一方では、近藤氏が「真のがん」と呼ぶ様な、極めて進行が速く、診断がついてから僅か数日~数週間で亡くなってしまう例もあります。
しかし、これらはいずれも極端な例であり、そうではないがんも沢山あります。
「そうではないがん」とは「適切に治療すれば治るけれども、放置すれば死に至る」がんの事です。近藤氏の説は、こうした最もありふれた形である筈のがんを意図的に無視しています。
言わば、両極端だけを取り出して見せているのです。その為に「がんもどきなど存在しない」「真のがんなど存在しない」という形での反論は不可能になっていますが、それは本質ではありません。

近藤氏の主張で、意図的に無視されているのが、

「適切に治療すれば治るけれども、放置すれば死に至る」がん

なんですね。

これこそ、治療の必要性を最も吟味しないといけないがんなのですが、近藤氏の極論の主張には登場しません。

近藤氏の元を訪れた患者さんは、たった2つに分類されて、「真のがん⇒治療してもムダ」「がんもどき⇒治療は不要」と言われるだけです。
(これなら私でもできるんじゃ・・・)

参考:近藤誠氏の「がんもどき理論(仮説)」の誤りと危険性

「放置」を選ぶこと自体は患者さんの自由です。

近藤氏に反論する意見に対し、信望者の方は「治療を受けない自由がある」と言います。

それはそうです。

患者さんには、医師から示されたいくつかの治療の選択肢、そして、そのどれも選ばない、という選択肢があります。

ここでは、近藤氏が極論により、標準的な治療について説明しないまま、「放置」を勧めているだろうことを危惧しています。

「この状態なら、手術で根治できる可能性がある」などとはきっと言っていないでしょう。

多様な意見があるのは認めた上で。

世の中にはいろいろな意見があるのは当たり前で、突飛な意見だからと切り捨てるのは良くないことです。

過去に異端と思われていた意見が、現代の常識となっていることはままあることでしょう。

医療の場においても同様です。

しかし、長い間、研究や臨床において、蓄積されてきた事実、そしてそこから導かれた診断や治療のスタンダードというものは、一人の医師の根拠の無い思いつきでカンタンに覆せるものではありません。

現時点で最良と考えられている、世界中の医師がスタンダードとしている治療より、世界でたった一人の医師しか信じていない、エビデンスも何も無い治療方法が勝るとは到底思えません。

できるだけ冷静に文章を書くように気をつけましたが、近藤氏への怒りが抑えきれず、すみません。

これを読んでくださった方、そのご家族、ご友人におかれましては、けして暴論を信じず、スタンダードな治療をしている医師に診てもらうよう、よろしくお願いします。

次回、私の出会った別のトンデモ医師について、近藤氏の外来事情について、そして参考となるサイトを紹介します。

    
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